せめて出棺する前にでも読経を

2025年10月21日(火)


古い知り合いから「ちょっと相談なんだけど…」
と連絡が入ったので、何ごとなのか尋ねたら
身寄りのない親戚が息を引き取ったそうです。

父方の親戚にあたる方ということだそうですが
その方のご主人が3年前に亡くなられたときに
親戚筋の誰もが「私は知らない」だったらしく。

回り回って知り合いに声がかかってきたんだけど
自分も断ったら本当に他に誰もいなくなるので
断りきれずお葬式のお世話をしたのだそうです。

その奥さまがこのたび亡くなられたということで
なぜか自分に後のことは何もかも全てを託すという
遺言状があると先ほど後見人さんから伝えられて。

まさかの突然の事態で途惑っているんだけれども
ひとまず施設からご遺体を引き取ってもらいたいと
言われて、そのあとどうするかという相談でした。

いずれにせよ何らかのかたちで荼毘に付すのは
自分が担わないといけないのは確かなんだけど
故人とは生前ほとんどご縁がなかったらしくて。

でも火葬だけで送るのはさすがに忍びないので
せめて出棺前にお経だけでも…と思ったときに
ふと「そういえば…」と私の顔が浮かんだので。

「こういう事情だけどお経をお願い」と言われて
その方の宗派は違うけど親戚筋の問題も全くないし
同じ頼むのなら私がいいと言うので承りました。

俗名で送り出して構わないということでしたが
法名もお授けすることにして枕経と葬儀の儀式を
略式ながら入れた葬送のお勤めをしてきました。

私がお葬式を引き受けてお勤めしてくれたので
「あ〜ホントよかった、本当に安心した」という
知り合いの表情を見て、私もホッと安堵しました。

亡き方のためにお勤めするのがお葬式ですが
後に残された方のためのお勤めでもあるなぁと
改めてしみじみ感じさせられたご縁でした。