緩和ケア研修会で宗教者として話す

2025年9月25日(木)


広島共立病院の緩和ケアチーム主宰の研修会で
医療や介護に携わっている人たちを対象として
心の持ち方の話をしてほしいと頼まれて伺いました。

死にゆく人に寄り添うということで患者さんや
ご家族の精神的苦痛やスピリチュアル・ペインに
どのように接していくのかというテーマでした。

一時間の研修会で前半は訪問看護ステーションの
所長さんが在宅看護の現場で経験されてきた
貴重な体験談に基づいた事例紹介の話があって。

後半が私に宗教者としての立場から話をというので
グリーフケアの話をしようと思っていたのですが
所長さんの話を聞いて話の題材を変更しました。

臨床仏教師となるために私自身が学んだことや
現場実習で体験して感じた聴き方の変化について
話すほうが皆さまに相応しいように思えたんですね。

ちょうど持参していたパソコンに別の機会に
用意していた臨床仏教について卓話したときの
資料があったのでその場で急遽差し替えました。

臨床仏教師の現場実習過程に挑んだ最初の試験で
頭で考えるのではなくこころで相手の感情に寄り添う
ことの出来る力を育むようにと指摘を受けたこと。

そして僧侶としてのグリーフケア連続講座で学んだ
ありのままを大切にしてあるがままに受け止める
ということを学んだことで「聴き方」が変化したこと。

それを経て、実習で解決型の聴き方をしていた自分が
聴きながら評価しないで目の前の相手が抱く感情に
耳を傾けるように努めていくようになった話をしました。

医療現場に従事している皆さまは死んでからのことや
生きている意味について尋ねられても答えられなくて
どうしたらいいかというご質問もいただいたのですが。

答えを出すのではなくて、目の前の方がどういう感情を
抱いていらっしゃるのかという心に寄り添っていくなら
その想いを受け止めるだけで充分なことだってあるでしょうし。

私自身がまだ行ったことがない極楽や天国については
ステキなところだと思っているけどまだわからないので
答えを出さなきゃいけないと思わなくてもいいと話しました。

メモを取りながら聞いてくださる方もたくさんいらしたし
終わってから直接感想を聴かせてくださった方もあって
今回与えられた役目が果たせたようでホッとしています。

お招きくださった緩和ケアチームの皆さま、ありがとうございました。