こんな戒名は絶対に授けたくない

2025年8月11日(月)


今年になって納骨堂に入るご縁をいただいた
新しいお檀家さまのお盆のお勤めをしたとき
棚経のおつとめに位牌を持って来られました。

「この繰り出し位牌の戒名は叔父のものですが
たまたま今日が祥月命日にあたっているので
せっかくなのでご廻向していただけますか」と。

位牌を預り「かしこまりました」と返事したら
「ちょうど80年前に南方戦線で亡くなったと
聞いているんですよね」とおっしゃいました。

戦死されたということが家族に伝わるのは
かなり月日が過ぎてからだったでしょうが
伝えられた家族を思うと切なくなりました。

というのも80年前の8月10日がご命日と
いうことは、あと5日ほど生きていらしたら
日本が降伏して戦争が終わっていたでしょうから。

戒名を読むと「殉國」という院号を授かっていて
忠義の「忠」と「義」もそれぞれ入っているので
戦地で殉死されたということが想像できます。

叔父さまのお名前が巖さまということなので
国に忠誠を尽くした巖さまなので「忠巖」とあり
忠義に徹したので「義徹」と授かったのでしょう。

第二次世界大戦中には時代の空気感を表す文字が
生まれた子どもの名前によく授けられたというように
戦地で戦死した方の戒名にも時代の空気感があります。

戦死した方に戒名を授けなければならなかった
ご住職さま方はどんなお気持ちだったのでしょう。
今回のご縁で、そんな体験は絶対にしたくないと思いました。