想いを届ける法事をおつとめする

2025年7月16日(水)


一周忌の法事をおつとめした施主さまの話です。
その方は毎月開いている寺カフェに参加して
実家のご両親の追善のために写経をされました。

お話を伺うと昨年お母さまが亡くなられていて
何か自分で供養できることはないかと思って
写経されたという話を聞かせてくださいました。

そのとき「このお寺とは宗派は違うんだけど
母親の法事をしてもらうことはできますか」
と尋ねられ、ご依頼があれば承ると答えていました。

ということでお母さまの一周忌をお勤めしました。
実家の菩提寺ではなくこのお寺に頼まれたのは
何か理由があるのだろうと思って尋ねたところ。

実家の跡取りとしては兄がいらっしゃるけど
お母さまが亡くなられる前から仲が悪くて
すっかり没交渉状態になっているのだそうです。

お母さまが亡くなる前にいろいろ介護しているとき
兄妹で話し合おうにも取り合ってくれなかったので
亡くなってからは連絡を断っているということで。

「兄は兄で法事をしているかわからないけど
自分は自分で母の一周忌をしたかったので
ここで法事できてよかったです」とおっしゃいました。

ご実家の宗旨は真宗の御門徒さまでいらしたので
ご本尊は同じ阿弥陀さまですしお念仏を称える
ということも同じなので違和感は少なかったでしょう。

法事のおつとめの内容は全く同じではないですが
お母さまとしては法事をしていただいたことを
ありがたいと喜んでいらっしゃるだろうと思います。

でも何よりも施主さま自身が法事をしたことで
ホッと安堵されていらっしゃるお姿をご覧になった
そのことを喜んでいらっしゃることだと思います。

亡き方にとって宗派の違いやお経の違いよりも
想いを寄せて手を合わせ「法事をしてよかった」という
姿を見ていただくのが何よりの追善供養になりますから。