オススメに染まる世界とやさしさ
2025年7月3日(木)
「住職さん、7月5日に何かが起こるらしいですよ」
そんな言葉を真顔で唐突に切り出されたもので
思わず「そうらしいですね」とだけ返しました。
心の中では「このタイミングでその話題ですか…」と
ひとりでちょっと困惑してしまったのですが
この方は何というかとにかく情報通なんですね。
「戦後の日本は株式会社ってご存知ですか?」とか
「政治家のほとんどが帰化人なんですよ」とか
「東京都は無償で外国人にお金を出している」とか。
いわゆる都市伝説や陰謀論の世界にも造詣が深く
次々と繰り出される情報に否定も肯定もできず
私はただ「へぇ…」と相づちを打つばかりでした。
私はテレビや新聞を見たり読んだりしていますし
ネットニュースも大手のメディアから拾い読みしますが
そういった話題にはなかなか出会うことはありません。
その方はテレビをまったくご覧にならないそうで
「テレビでは本当のことは言わないんですよ」と
穏やかな口調ながらきっぱりと言い切られていました。
「調べてもらったらわかりますよ、出てきますから」
とオススメされたのですが…私は検索したくないですね。
というのも一回でも検索したら履歴に残ることになるし。
何かに興味を持ったら関連する記事や動画というのが
どんどんオススメに表示されてくるようになるので
タイムラインがそっちの世界に染まっていくでしょうから。
ネットは便利ですが「検索」「クリック」「閲覧履歴」によって
「あなたへのおすすめ」が自動的に提示されてきます。
「こういうの好きでしょ?」としたり顔で寄ってくる感じで。
優しさか、おせっかいか、ありがたいけどちょっと怖いような…
自分が興味を持った方向にどこまでも導いてくれるのですが
気づけば自分の好みに合った情報ばかりがあふれかえっています。
それでもこの方が語る姿には熱意と信じる力がありました。
きっと「これは大事だから知っておいてほしい」という思いが
あの言葉の一つひとつに込められていたのだと思います。
とはいえ信じている人が教えてくれる熱意はホンモノですし
何より私にも知っておいてほしいと思ってくれる気持ちは
その人なりの優しさや世界を良くしたいという想いがあるんですよね。
そういうまっすぐな気持ちにはちょっと心が動きます。
信じるモノや見ている世界が違っても、そっと聞いてそっと返す。
そんなやりとりができれば、お互いにやさしくいられる気がします。