無我夢中だったあの日から24年
2025年6月7日(土)
私が初めて枕経と通夜と葬儀を執り行った方の
25回忌のご法事でお施主さまと顔を合わせたとき
「すっかり貫禄が出てこられましたね」と言われました。
24年前の春に会社員を辞めてお寺に戻りました。
坊さんになる修行から7年近く過ぎていたので
忘れてしまっていることもいろいろありましたが。
坊さんになるまでの学びや修行の期間中には
ほとんど習ってもいないし実践したこともない
ということの一つがお通夜やお葬式のやり方でして。
当時住職だった師父が出張で寺を空けたタイミングで
お檀家さんが亡くなったという訃報が入ったので
師父に連絡したら「お前が代わりにやれ」と言われ。
何もわかっていない自分が送らないといけないから
お寺にあるもの全てを掻き集めて読みあさったうえで
あのとき出来るだけのことを精一杯にお勤めしました。
3回忌をお迎えしたとき私が法事を勤めたのですが
「あの時はいたらなかくて申し訳なかったです」と言うと
「一所懸命なのが良かったですよ」と言ってくださいました。
今だったら枕経やお通夜の席でかける言葉だったり
喪主さまからお話を聞かせていただくことだったり
というのが当時よりも自信を持って臨めるでしょうけど。
当時わからないことだらけで通夜や葬儀を執り行った
申し訳なさに坊さんとしてゼロから学びなおさないと
と猛省するきっかけとなったのがあのお葬式でした。
このたびの25回忌で貫禄が出てきたと言われたけど
いまの自分はこれまでたくさんの仏縁をいただいて
お檀家さまに育ててもらったおかげの賜物なんですね。
経験を重ねていくと良くも悪くも馴れるものなので
貫禄が出てきたという言葉に浮かれて慢心しないよう
改めて初心を忘れないように…と思ったご縁でした。