同じ位牌には刻まれたくないから

2025年5月7日(水)


四十九日法要からご縁をいただいたおつとめで
お葬式で授かった白木の位牌と新しい位牌に加えて
片側だけ戒名が刻まれた夫婦位牌を持参されました。

亡きお母さまのご法事ということで持参された
新しい位牌にはお母さまの戒名だけが真ん中に
刻まれていて夫婦位牌にはされなかったようです。

お母さまのおつとめのときお父さまのご廻向も
おつとめ申しあげてお母さまの戒名だけが刻まれた
新しい位牌の開眼供養も執り行ったのですが。

なぜお母さまの戒名を夫婦位牌に刻まれなかったのか
気になったので理由を尋ねてみたら「実は母が
生前一緒にしてくれるなと言っていまして…」と。

そもそもお父さまの塗りの位牌を作られるとき
夫婦を並べて刻むことができる夫婦位牌にしたのは
お母さまじゃなかったということなのかなぁ?

ご夫婦の間に何があったの?など気になりましたが
ちょっと言いづらそうにされていたのでそれ以上は
突っ込んで尋ねるのは控えておくことにしました。

ご法事のあとお母さまの新しい位牌をお返しして
お父さまだけの夫婦位牌もお返ししたのですが
「それはお寺で引き取ってください」と頼まれました。

お父さまの戒名はご先祖さまの戒名が記された
繰り出し位牌の札に新たに記されたというので
お父さまだけの夫婦位牌は止めることにするそうです。

四十九日法要で夫婦位牌を持って来られたときは
先立たば遅るる人を待ちやせむ花の台のなかば残して
という善導大師の言葉が元になった歌を説明していますが。

今回ばかりは切ない気持ちでご説明申しあげました…
(画像は夫婦位牌のイメージで本件とは無関係です)