戒名を授かることでのグリーフケア
2025年2月8日(土)
このたびご縁を賜ったお葬式のあとで伺った
火葬場は雪国のように雪が降り積もっていて
普段よりも静けさに包まれた雰囲気でした。
檀信徒でも初めてのご縁でもお戒名を授けるのは
亡くなったあとでということがほとんどですが
今回は「雪」の字を入れてお授けしました。
ご生前のお人柄やお姿を存じあげている場合は
ご遺族や喪主さまから伺ったお話に加えて
私なりの印象から字を選ぶことがありますが。
初めてのご縁の場合はお通夜がはじまる前に
控室で喪主さまやご一緒に来室されたご遺族から
その場で伺った話しか故人さまがわかりません。
お話を伺ったあとでその場でご遺族と一緒に
イメージや印象などを話して共有しながら
中心となる字を相談するという場合もありますが。
今回は故人さまのお名前である一字だけしか
中心にできる字がないという状態だったので
他にどんな字をお授けするのか悩みました。
数日前から非常に強い寒波が押し寄せていて
お通夜も雪だしお葬式も雪になりそうだったので
スッーと降りてきたのが「雪」の字でした。
法然さまのお歌に「雪のうちに仏の御名を称うれば
つもれる罪ぞやがて消えぬる」というのがあるので
喪主さまに伺ったお話につながる気がしたんですね。
今日のお葬式をお勤めした後でお話するとき
極楽に往かれた後の故人さまへの願いも込めて
法然さまのお歌を引いて意味を説明しました。
出棺して火葬場の炉前で最後のお勤めのあと
これで失礼しますと喪主さまに申しあげたら
喪主さまから戒名へのお礼の言葉をいただきました。
いまの私にも故人にもピッタリの戒名でした。
おかげできちんと父を送ることができました。
このたびは本当にありがとうございました、と。
お通夜やお葬式という儀式をつとめることもですが
いいと感じる戒名を授かることができたというのも
グリーフケアにつながるというのを改めて感じました。