家を出た嫁が口を挟むことじゃないって…
2024年8月31日(土)
お坊さんも人間なのでいろんな方がおられるけど
「この前こんなことがあったんですよ」という
今回のお話は昭和に戻ったかのようなお話でした。
義理の両親の面倒もよく看ていらしたAさんは
実家のお母さんが施設に入っておられるので
ちょくちょく顔を出してお世話をされています。
Aさんにはお兄さんがいらっしゃるのですが
あまり頼りがいがないタイプだそうでして
お母さんのところにはあまり会いに行かれていなくて。
お兄さんの奥さんは甲斐甲斐しい方じゃなくて
義理の親とはなるべく関わりたくないタイプらしく
義理のお母さんのことは全く関与されないそうです。
お母さんはまだお元気だけど終活を気にされていて
「私が死んだら近所の会館でお葬式してね」
とお母さんから頼まれていらっしゃるということですが。
お兄さんは菩提寺のご住職がお寺でお葬式をするよう
熱心に勧めていらっしゃるということもあって
菩提寺でお葬式すればいいと思っておられるようです。
Aさんはお母さんの意志を尊重してあげたいので
菩提寺のご住職に会ってお母さんの想いを伝えて
お葬式の相談にご住職を訪ねて行かれたんですね。
Aさんが「実は母がお葬式は・・・」と言いかけたら
ご住職に「家を出た嫁が口を挟むことじゃない」と
厳しい口調で言われてそれ以上何も言えなかったそうです。
この菩提寺のご住職は私と同じ年代の方だそうですが
門前払いするように拒絶されたことにショックと驚きで
まさに開いた口が塞がらなかったということでした。
「話を聞くだけでも聞いてくれたらいいでしょうに
こんなことを言われたんですけどどう思います?」
と言われましたが私も思わず絶句してしまいました。
「お母さんの想いをかなえてあげたいと思うけど
兄が聞いてくれたらいいのに頼りない人だから…」
と嘆くようにこぼされていたのが切なかったです。
お檀家さまのお気持ちに耳を傾けないといけませんよ
というのを改めて教えていただいたようなお話でした。