記憶の彼方に埋もれていた響き

2024年7月13日(土)

240713
離れた地域のお寺さまからご紹介をいただいて
お葬式をおつとめするご縁をいただいた方の
ご親族が改めてお寺にお参りに来られました。

お葬式のあと故郷の菩提寺さまにお参りされて
法事も広島で頼むことを了解いただいたので
ここのお寺でお願いできますかと尋ねられました。

親御さまの代まではご法事があるときには
故郷の菩提寺さまでなさっていたそうですが
遠くて交通の便も良くないので大変だそうです。

お祖父さまが広島に引っ越してこられたとき
広島に墓所も構えて既にご自身が入られているし
このたび親御さまもそのお墓に納められます。

ご親戚にも故郷の菩提寺さまにも話をされて
皆さまのご了解がいただけていらっしゃるので
私としては差し支えない旨をお返事しました。

お話が済んだあと奥さまがおっしゃいました。
先日のお葬式で私が読んでいたお経の一節を
子どものころに聞いた覚えがあったんです、と。

小学生だった弟さんが剣道を習われていて
夏にお寺に泊まりこみで合宿をしてきたあと
家に帰ってきておつとめの真似をされていて。

おつとめで唱えていたお経の一節の響きが
子ども心におかしくて姉弟で一緒に真似して
ゲラゲラと笑っていたのを思い出したそうです。

浄土宗の日常のおつとめで唱える三宝礼で
仏法僧を「ぶー」と「ほー」と「そー」と
それぞれの一節の最後にあるのが面白いらしく。

記憶の彼方に埋もれていた子どもの頃のことが
私のお経の音の響きを聞いて「あっ!」となって
忘れていた記憶がよみがえってきたというのです。

 一心敬礼十方法界常住仏
 一心敬礼十方法界常住法
 一心敬礼十方法界常住僧

浄土宗でお唱えする「三宝礼」という偈文で
仏法僧は仏門に縁ある人が大切にする三宝に
心から頭を垂れて敬っていくという内容です。

これまで浄土宗とご縁がなかったそうですが
子どものころに既に刷り込まれていたというのは
何かしらご縁があった気がしますとおっしゃいました。

きっとそうなんでしょうねと私もお答えしました。
いろんなご縁に導かれてこのお話を伺うという
貴重なご縁をいただけて私も有り難かったです。