聞いた話だけで思い込まない
2024年4月3日(水)
お通夜なしでと頼まれたお葬式を執り行いました。
昔からの檀家さんでしたが喪主の息子さまが
ご家族だけでこぢんまりしたいという希望でした。
亡くなられたのは信仰心の篤い方だったのですが
生前に息子さんたちは信心が薄いからねぇ…と
仰っていたので仕方ないかと思っていました。
通夜なしなのでお葬儀に早めに着くようにして
息子さん夫妻から亡くなられた親御さまの話を
聴く時間をたっぷりとれるように伺いました。
葬儀会館に着いたら祭壇は最低限の設え飾りで
2L判の遺影がポツンと置かれている他には
一対の花スタンドがあるだけの簡素さでした。
ご病気を患って最初に入院されたのが6年前で
落ち着いてから息子さまの家に来てもらって
一緒に暮らそうと言ったけど断られたそうです。
親御さまは自分の自宅に帰りたいと言うけど
認知症もあって一人で暮らすのが難しくなって
グループホームに入ることを選ばれたそうです。
ところがグループホームが閉所されてしまって
次の施設に移らなければならなくなったとき
引き受けてもらえたのは芳しくない施設で。
その頃には一緒に暮らすのが難しい状態のため
仕方なく次の施設に入らせてもらうしかなくて
他所には移れないまま最期を迎えられました。
そうした経緯を聴かせていただいているときも
お葬儀で仏さまや極楽世界の話をしているときも
時どき目に浮かぶ涙を拭っているご様子でした。
親御さまは信心が薄いからと仰っていましたが
お葬式で息子さまたちと接したときの印象は
大切な人とお別れすることの哀しみ感じました。
誰かがある人の話をしてくれるのは一側面でしかなくて
自分でその人に接しないと分からないこともあるので
先入観を持つのは良くないと改めて思いました。
設えは質素でも心は温かく感じたお葬儀でした。