予期悲嘆で備えておくことで
2023年10月23日(月)
「今はまだ棺に寝ていてそこに居ると思えるけど
火葬が済んだら寂さで辛くなる気がするんです」
お通夜の控室で故人の娘さんがおっしゃいました。
「父のお葬式のときはまだ母がいるからと思えて
そんな寂しくなるとか特に何も思わなかったけど
母を送ると思うと胸に迫るものがあって…」と。
父だからとか母だからということもあるでしょうが
お父さまのお葬式のときはお母さまが喪主だったし
まだお母さまが居てくださると思えていたでしょうが。
このたびお母さまをお葬式でお送りされたら
親御さまがお二人ともいらっしゃらなくなると思うと
余計に寂しさが募るように感じるのかもしれません。
すでに火葬のあとの寂しさを想像されていたので
きっと前もってお伝えしたほうがいいと思って
「予期悲嘆」ということについてお話しました。
いまから火葬後の心の動きを想像されているので
実際に火葬が終わって収骨される瞬間になったら
恐らく予測されるように心が沈んでいくと思います。
ただし今から心の落ち込みを予測されているので
気持ちの予測をしないままご収骨に入られるよりも
心の沈みこみ方は恐らく少しは浅くなると思います。
どちらにしても寂しさや辛さはあるでしょうが
嘆きや悲しみがくると予測して備えておいたほうが
衝撃は同じでも柔らかく受けることができますよ、と。
実際にどうだったのかということは伺っていないので
もしかしたら全く違う反応をされたのかもしれません。
覚えていらしたら後日お話ししてくださることでしょう。
きっと心の反応はそれ以外でも激しい状態でしょうから
そのまま何もおっしゃることはないだろうと思います。
もし一時的にでも心が軽くなっておられたら幸いです。