戒名を読み解く 〜その2〜
2021年10月22日(金)
平成5年のご逝去なので今から30年近く前にはなりますが
恐らく誰もがテレビでご覧になったことがある方が授かった戒名です。
この「誠實院温譽和顔政孝居士」はどなたの戒名か分かりますか?
お寺のポータルサイト「まいてら」でオンライン「戒名カフェ」を開催してます。
その中で有名人の戒名を紹介する「戒名を読み解く」コーナーがありまして
有名人の戒名にどんな想いが込められているのか試みに読み解いています。
私がお葬儀で戒名をお授けするときは一文字ずつにさまざまな想いを込めています。
オンライン「戒名カフェ」でもお坊さんたちが実例を紹介するコーナーがあって
次回の10月25日(月)では、私がお授けした実例を紹介する予定です。
具体的な人物像がイメージできない方だと戒名がその方に相応しいのかどうか
戒名として並んでいる文字それぞれの解説だけでは分かりづらいこともあるので
ブログでもご紹介していこうと思い「戒名」を読み解く企画の第2弾をお届けします。
これはアナウンサーの逸見政孝さんの戒名で、下から3・4文字目が「政孝」となっています。
お名前(俗名)「政孝」のままなのでパッと分かった方もいらっしゃるかも知れません。
次に戒名を分解すると院号・誉号・道号・戒名・位号の5つに分けることができます。
「誠實院」……これは院号で、社会的に大きな功績を成した方や、お寺に多大な貢献をされた方に対して授けられるものです。
「温譽」………これは誉号で、浄土宗で行われる五重相伝を受けた方が本来は授かるものです。
浄土宗とご縁があったことが分かるように、受けていなくても授かることもあります。
「和顔」………これは道号で、現代はほとんどの方が授かっていらっしゃいます。
浄土宗の誉号を授かった場合は、道号を授からない場合も多くあります。
「政孝」………ここが戒名で、本来はこの二文字のみが戒名ですが、全体を戒名と総称することがほとんどです。
「居士」………これは位号で、「信女」「居士」「大姉」など戒名の下に添えられるものです。
戒名の「政孝」というのは生前のお名前です。俗名をそのまま戒名とされるのは珍しいです。
では他の「誠」「實」「温」「和」「顔」の5文字はどのように読み解けるでしょう。
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「誠」………これは真面目で「誠実」な外見のイメージから授けられたのだと思います。
「實」………誠実の「実」を、画数の多い旧字体の「實」にしておられます。
「温」………外見とギャップある面白いギャグとユーモアなお人柄から選ばれたと思います。
「和」………実際には厳しい面もありながら温和な笑顔が印象的だったことから授かったのだと思います。
「顔」………浄土宗で大切にする仏説無量寿経の一節に出る「和顔愛語(わげんあいご)」の一節です。
「政」………音読みにしても響きが良いので、ご生前のお名前(俗名)をそのまま戒名として授かっています。
「孝」………「政」も「孝」も戒名によく用いられる字で、そのままご生前のイメージを想い浮かべやすいと思います。
いかがでしたでしょうか。
有名人の戒名を試みに読み解いていくと、戒名の成り立ちがよく分かります。
ひいては、自分の戒名を考えてみるとき、とても参考になることでしょう。
ちなみに、ご生前のお名前(俗名)をそのまま戒名とされるのは珍しいです。
浄土宗のお坊さんは生まれたときに授かった俗名と戒名が同じ方が多く、私もそうです。
まいてらでは、2021年10月10日(日)、10月25日(月)、11月4日(木)と、3回にわたり
お坊さんたちと戒名について話すことができるオンライン「戒名カフェ」を開催します。
後半のグループ・トークではさまざまなご質問にたくさんのお坊さんたちがお答えします。
第1回目は終わりましたが、まだ2回ほど続けて開催を予定しています。
ぜひ一度あなた自身にふさわしい戒名を自分自身で考えてみませんか。
なお、生前戒名のご相談をご希望の方は、住職までご連絡ください。
具体的にいろんなお話を伺って一緒に考えます♪