実感がわかなくて悲しめなくて

2021年9月1日(水)

210901
師僧である長老が葬儀を執り行った方のお宅へ
長老の代わりに三七日のお参りで伺いまして
お仏壇の隣にある中陰棚の前でおつとめしました。

しばらくご生前のお話を伺って帰ろうかと思ったとき
「まだ主人がいない気がしなくて悲しくないんですよ」と
奥さまが申し訳なさそうな顔をしておっしゃいました。

死後事務手続きが煩雑で慌ただしくて大変でいらして
頭ではご逝去を分かっていても心の方が追いついてなくて
悲しさを全く感じないこともおかしいことではありません。

大切な方をなくした人は心にさまざまな反応が出ることを
いくつかご紹介してお伝えしたら「よかった!」と。
悲しめないことだってあると知ってとても喜ばれました。

「ご主人を亡くされたけど奥さんは明るくてよかった」と
周りの方から言われるのがご本人にはとても辛かったらしく
自分はどこかおかしいのではないかと悩んでいらしたのです。

「ずっと胸につかえていたものがスッとなくなっていって
今日はこのお話を教えてもらって本当に良かったです」
とおっしゃって心から安堵した笑顔でお見送りくださいました。