負担をかけたくない想いが強過ぎると

2020年12月29日(火)

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お葬儀だけおつとめして欲しいと頼まれて伺いました。
葬儀社さんがご当家さまの希望でお通夜なしで、と。
また戒名も要らないと言われている、ということでした。

早めに会場入りしてご遺族の皆さまにお話を伺いました。
亡き方が「迷惑かけたくないからお葬式も要らない」と言われていて
ご遺族の皆さんが相談してせめて葬儀だけはしよう、となっていました。

故人の遺志を尊重したい想いでいらっしゃるのはよくわかります。
余分の包みは不要なのでお戒名を授けたいけど構いませんか、と尋ねました。
「そうしたら安らかになれるのだったら、つけてもらおうか…」とのお返事です。

どういう理由で葬儀をしていて何を願ってどんな儀式なのかを伝えました。
戒名は仏弟子の戒を授けた証しとしての名前であることも申し添えて。
そして戒名をお授けするために亡き方の話を聴かせてくださいとお願いしました。

そのあたりから硬かったご遺族の皆さんの表情が柔らかくなってゆかれました。
時に涙をぬぐいながらたくさんの想い出を聴かせてくださいました。
戒名に入れる文字をいくつか示して一緒に考えていただきました。

大切な方を送るときはできる範囲内で惜しまず精一杯に盛大にされるのがいいですね。
そのほうが心を込めて丁重に送ることができて悲しむ心に蓋をしなくて済みますし
心のままに悲しんで心のままに泣いてありのままの気持ちで送ることができますので。

もちろん後で負担をかけたくないという想いはとても有り難く尊いことです。
でも故人の遺志として余りにも強く押しつけ過ぎないことも大事だと思います。