お仏壇を閉じて憂いなしの備えを

2020年2月11日(火)

200211
この世に在るものはずっと変わらず在り続けることができません。
命あるものも形あるものもいつか命を終え形を崩すときがきます。
お釈迦さまが掲げられた仏教の四つの旗印の第一は諸行無常です。

でも私たちは諸行無常ではなくて何ごとも諸行常だと思い込んでいて。
常に在ると思っているのが無常であるのに直面したとき苦に直面して。
何とかいつまでも在り続けられないかと叶わぬ願いを欲するものです。

亡きお母さまのご実家から引き継がれて代々守ってこられたお仏壇。
ずっと月参りに伺っていたお宅へ最後のおつとめに伺いました。
いつ何があっても良いように元気なうちに仏壇仕舞いをされたいとのことです。

お守りをされてきたご姉妹お二人とも後を継がれる方がおられません。
「本当は母が仏壇仕舞いをしておいてくれたらよかったのだけど・・・」
聞き取れないくらいにこぼされた科白はポロッと漏れた本音なのでしょう。

閉じる役目を引き受けるのはご先祖さまに申し訳ない気がしていたそうですが。
ご本尊さまとお位牌はお寺の納骨堂でお預かりいたしますとお伝えしたところ。
これでもういつ何があっても憂うべきことがなくなったと安堵されました。

仏教の説く諸行無常の話をしたら薄ら涙がにじんでいらっしゃいました。
大切にされてきたからこそ別れを惜しまれていらっしゃる証しです。
尊いご縁に逢わせていただけたことを有り難く感じました。