お鈴はご挨拶ではない?!

2018年10月11日(木)

181011
お茶飲み話をしていたらお檀家さまから訊ねられました。
「ちょっと聞いてみるのですが、お仏壇のお鈴はあまり鳴らしてはいけないのですか?」と。
どうやら何かのテレビ番組でお坊さんがお経を読むときに鳴らすものだと言っていたから、とのことです。

「朝お仏壇に手を合わせた時などにご挨拶するようにしてチーンと鳴らすのはダメなんですかね」とも。
「そんなことありません、どうぞ今までどおりいつでもお好きにチーンとやってください」とお返事しました。
「あ〜よかった。ダメだって言われて何となく気が引けていたから、気になってたんです。」と安堵されました。

これまで何十年も続けて習慣になっていたのにダメと聞いたら何だかモヤモヤされていたようです。
でも大丈夫と聞いてお仏壇にこれまでどおりチーンとして手を合わせられると笑顔で喜ばれました。
どれだけ慌ただしくても朝はお鈴を鳴らすだけでお経をあげる余裕がないことが多いそうですから。

確かにお坊さんどうしが集まって何かのお勤めをする時には打ち鳴らす方法が定められています。
でもそれ以外のときでも、美しいお鈴の音色を用いることもあります。
その場や空間を清めたり心を静めたいときにもお鈴を打ち鳴らしています。

恐らく画面には小さな文字で「あくまで一例です」とか「異なる解釈もあります」と示されていたはずです。
粗末に扱うのではなくて、丁寧に心がこもって為すことであれば、大抵の場合はダメなことはありません。
とはいえ、やはりテレビの影響は大きいものだなと改めて実感しています。

道を歩いていてふと気づいた存在感のある芳しい香りをたどっていくと金木犀の花が咲いていました。
朝のご挨拶としてお鈴を鳴らすのは手を合わせる心が自然に花開いている表れとして大切にしていただきたいものです。