喪中のお便りにやるせぬ想い

2017年12月2日(土)

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歳末が近づいて喪中のお便りが届いたことで初めて亡くなられたこと知ったという話を聞きました。
生前にとてもご恩を頂戴していたから、せめてお葬式の時に弔問に伺いたかったそうです。
ところがお葬式の連絡はもらえず、何ヶ月も過ぎてハガキ一枚で知らされただけでした。

お便りで知らされた亡き方は、こちらのご家族のお葬式の時にはお参りくださっていました。
それなのにお葬式のときにお参りすることが出来なかったのは申し訳なく思ってしまう、と。
取り急ぎ電話なさったところ、遺族の方は「お参りに来て欲しくない」と言われたそうです。

さらには「お墓にもお参りに来てもらったら困るから止めて欲しい」とも言われました。
何でそんなにまで拒まれているのか理解に苦しむので、どうしてかとお尋ねになりました。
「こちらがそちらのお墓にお参り出来ないから、そちらにも来てもらったら困る」という理由でした。

どうにもしようが無いので「わかりました」とお返事されるしかなかった、とのこと。
しかし、せめてお墓参りくらいは伺いたいから先方には内緒でお参りに行かれました。
お花をお供えしたらお参りしたことが伝わるだろうから、お線香だけで手を合わせて来られました。

亡き方から受けたご恩のことを遺族の方はご存知ないからお参りしたい気持ちをわからないのでしょう、とおっしゃいました。
何とも残念でならないけど、他に何もできないことが亡き方に申し訳ないそうです。
その想いは確かに亡き方がお浄土で受け取ってくださっていることでしょう、とお伝え申しあげました。

ごく限られた身内だけでお葬式をすませたいという意見は何かとよく聞きます。
故人の遺志による場合もあるでしょうが家族の意向ということもあるでしょう。
遺族側としては知らせたくないと思っても、参列側としては遠慮されるのは残念に思いがちなものです。

故人さまと周りの人とのご縁を、遺族側が何も知らないだけという場合も多いことでしょう。
それゆえに、自分たちの都合を優先させることは周りの人を苦しめることもあります。
お葬式は必要以上に密やかにせず、お参りいただくご縁を受け入れていただけるようであっていただきたいものです。