こころは同じだから

2017年8月22日(火)

170811
昨年のこと、あるお檀家さんのお宅へ四十九日のお勤めに伺いました。
お仏壇があったのですがお位牌しか置いてありませんでした。
御本尊さまをお祀りしていただきたい旨をお話いたしました。

今年のお盆にお檀家さんのお宅へ初盆の棚経参りに再び伺いました。
お仏壇の前に座って中をのぞいたら、御本尊さまがありませんでした。
ともかく明かりを灯しお線香をあげてお勤めをいたしました。

お勤めが終わったところで「ちょっといいですか」と奥さまが話をはじめられました。
「前に仏さまをお祀りして欲しいと言われていたんですけどね・・・」と少し言いづらそうなご様子でした。
よくよく伺ってみると、家族ぐるみで別に信仰しているものがあるので仏さまは祀れない、とのことです。

ご先祖さまのお位牌が最も中心で、他のお位牌の置き方も厳密に決まっているそうです。
亡くなられてからずっとご主人にもみんなと同じ食事をお供えされていらっしゃいました。
せっかくなので、どういう教えで何は良くて何は良くないのか、など詳しく教えていただきました。

「こころは同じだから、いいんじゃないですか、私は構いませんよ」と申しあげました。
かなりじっくりとお話をうかがうについれて、ホッと安堵したお顔になってゆかれました。
仏事については、別の信仰のところではないので、これからもお寺に頼みたいということでした。

実のところ、御本尊さまをお迎えしづらいのであれば、お譲りしようかと思っていました。
こちらから申しあげる前に、ご事情を先に伺うようにして大正解でした。
「耳はふたつに口ひとつ」と言うことがありますが、聴くこと優先は大事なことですね。