恩返しできないときは恩送り
2017年9月27日(水)
ご高齢でご往生されたご婦人のご法事をおつとめしました。
名字を継がれる方がいらっしゃらないのでご兄弟がお施主さまでした。
ご法事が終わってから亡き方のお話をいろいろとお聞かせいただきました。
若い頃からねんごろにご縁のある方の面倒をみていらっしゃいました。
しかし面倒をみていただかれた方が感謝されることはほとんどありませんでした。
「恩に感じて何かするということがないっていうのは哀しいことよのぉ」とおっしゃいました。
私たちも自分が気づいていないけれども受けてきたご恩はたくさんあります。
でもご恩を返したいと思ったときに恩人がいらっしゃらないこともよくあることです。
そういう時には自分がいただいたご恩をご縁のある周りの人に何かしら施していくことができます。
受けたご恩を人に施したときに「送ってあげた」と思ったらお礼の気持ちが欲しくなります。
でも見返りを求める心があるのは、最初にご恩を与えてくださった方に喜ばれないでしょう。
見返りを求めず、ただただ受けた分をお返しする気持ちで恩を受け渡して送ると思いたいものです。
これまでに何度か目にしたり耳にしたことのある「恩送り」の話です。
我が身を振り返ると恩返しも恩送りも出来ているとは言えないことは棚上げして、です。
それでも、ふと心に湧いてきた「恩送り」の話をとても喜んでいただけたことは幸いでした。