長くて早かった一年

2017年7月4日(火)

170704
遠方より前泊されての一周忌法要のお参りがございました。
おつとめの後に近況を伺ったお返事は不思議な言葉でした。
「いま思い返すと長くて早かった一年でした」と。

亡き方のことばかりを想っている時は「まだ一年しか」と。
余事にかまけていてふと思い出す時は「もう一年が」と。
瞬間ごとに時の流れ方を真逆に感じていらっしゃいます。

5年間ほど全力を注いで看病されていらっしゃいました。
そのためご葬儀の後はポッカリ穴があいたように感じたそうです。
ですが哀しみに明け暮れていらっしゃる訳ではありません。

一年が過ぎて気持ちが離れてしまわれた訳ではありません。
むしろご生前より話しかけられる回数は増えていらっしゃいます。
それも以前には考えられないほど優しい口調だそうです。

いま少しずつご自分だけのために前に進み始めておられます。
亡き方もお浄土で微笑みながら見守っていらっしゃることでしょう。
そう申しあげたら「それでもいいですかね」と尋ねられました。

亡き方にとって遺された人がふさぎ込んでいるのはご心配です。
それよりも明るく心からの笑顔をこそ喜んでご覧になるでしょう。
「大丈夫です、むしろご安心されているでしょうね」と申しあげました。