揺れる心をそのままに受けとめて
2026年3月19日(木)

仏教で説かれる四苦の一つが病の苦しみですが
いつの時代でもどんな場所でも人に生まれたら
誰しも何かしらの病気は避けられないものです。
先日のお葬式ではスキルス性の癌を患われて
病が発覚してから半年ちょっとの命だった方を
お送りするおつとめのご縁をいただきました。
病院でお医者さんからご本人が告知されたあと
ご本人は淡々と家族に告げられたそうですが
ご本人のご希望によりご自宅で過ごされました。
幸いにも痛みの自覚がほとんどなかったようで
ご本人はずっと意識もはっきりされていたので
奥さまと娘さまが力を合わせて介護されました。
普段通りに暮らす生活をなるべく続けておられて
食べられなくなってからも自分で動かれていて
最後の日まで普通に会話を交わされていました。
呼吸が浅くなったので奥さまが右手を娘さまが左手を
握って声をかけていると、少し強く握り返されてから
そのまま静かに息を引き取っていかれたそうです。
いつかその時がやってくると覚悟をしていても
実際に息を引き取られていく瞬間に直面したら
揺れる心はどうしても止められないものです。
やっと楽になれてよかったという安心感と
もう会えなくなるという切なさやさびしさの
相反する想いが複雑に入り混じっているところに。
できるだけのことはやりきったという満足感と
いつ終わるかわからないまま精一杯に続けてきた
お世話が終わったという安堵感も湧いておられて。
心の整理がつかない状態でいらしたのですが
「よく頑張ってこられたのですね」と申しあげたら
緊張していた表情がホッと緩んでこられたようでした。
大切な人をなくしても悲しんで落ち込むだけでなく
ホッと安堵したり怒りが湧いたり何も感じなかったり
いろんな感じ方や心の状態があって構いません。
「いまの自分はこう感じているんだね」と
そのままに受け止めてあげるだけで充分です。
だからいいとか悪いとか判断する必要はありません。
ありのままの想いをそのままに受け止めていく
ということを大切にしていただけたら幸いです。