もしいま目の前にいらしたなら

2026年2月27日(金)


ご法事をおつとめしたあとにお話をするとき
よく「もし今ここに亡き方が目の前にいらしたなら
どういう言葉をかけてくださるか」尋ねています。

最近の法事では映画『ほどなく、お別れです』を
ご覧になった方という方がいらした場合には
映画と重ね合わせて思い浮かべていただいていて。

先日のご法事でも故人さまのお二人の娘さまが
二人とも映画を観ましたとおっしゃったので
「何とおっしゃるでしょうね?」と尋ねました。

しばらくじっと想像を巡らしていらしたので
言葉を待っていたのですが、娘さまだけでなく
お孫さまにも思い浮かんだ言葉を伺いました。

皆さんのお話を伺っていきながら、実は私も
もし故人さまとこの場でまたお会いしたら
何とおっしゃるかと想像を巡らせていました。

というのも先立たれたご主人のご命日ごとに
毎月お宅に伺ってお仏壇の前でおつとめをして
そのあとお話をするご縁が長くありましたので。

ご自身のことをあれこれ自分から話すよりも
どちらかというと人の話に耳を傾けるタイプで
私からお尋ねしないと語り出されない方でした。

「娘たちはここに来てはいろいろ話すけど
私が何か言っても仕方がないことが多いから
「ああそう」と聞くだけにしているんですよ」

「孫たちも学校帰りに立ち寄ってくれるけど
自分から話さない限り私はそっとしています
言いたいことがあったら自分から言うでしょうからね」

とおっしゃっていたのがとても印象的だったので
そのことをお伝えしたら「ああそうでしたか…」と
おっしゃった娘さまの頬に涙がこぼれました。

「もしかしたら私たちよりも住職さんのほうが
母の気持ちをご存知だったかもしれないですね」と
本堂の仏さまの方を見つめながらおっしゃいました。

法事というのは出会い直しをする場だと思います。
法事に集うまでの時間もおつとめしている間も
終わってから語り合う時間も故人さまを想っています。

そうした時間では、在りし日のお姿を思い浮かべて
まるで目の前にいらっしゃるように想いを寄せて
自分のなかで故人さまと出会い直しておられます。

こういう温かいご法事をおつとめさせていただく
ご縁に巡り逢えるのは本当にありがたいことです。