自分はいいけど他の人だと複雑
2024年9月21日(土)
お父さまの法事をお勤めしてお話したときに
今日の様子はきっと仏さまと一緒にご覧に
なっていらっしゃるでしょうと申しあげました。
「あのぉ…ちょっと聞いてみてもいいですか。
死んでからあっちで人柄が変わるってことは
あるんですかね」と施主さまが尋ねてきました。
生前のお父さまは自分の思いが通らないことが
あったら奥さまにも子どもたちにもすぐ怒るし
自分中心でワガママな性格だったそうです。
「そんなだった父が仏さまのところに行って
子どものことを想ってくれるようになったって
それじゃぁ都合が良すぎないですかねぇ」と。
お経のなかに説かれているとおりに頂いたら
生前は善人でも悪人でも平等に極楽に生まれて
みんな同じ不退転の修行者となるとあります。
お施主さまは変わっていてもらいたい想いと
スルッと変われてしまうことに対する想いが
相容れなくてモヤモヤされているように感じました。
「都合良すぎるような気がしなくもないですが
阿弥陀さまのお慈悲の心はとっても広いので
それでいいんだよっておっしゃる気がします」
と申しあげると「それなら自分もですかね。
僕もそんな良い人間じゃないけど大丈夫って
言ってもらえるんですかね」と言われました。
極楽ではみんなが平等に同じくなるというのは
他の人だと都合良すぎて複雑な心境にもなりますが
自分が迎えていただくときはありがたいんですよね。
「私もまだお迎えいただいて行ったことがないから
実際どうかわかりませんがそうであって欲しいなぁ
って思って手を合わせているんですよ」と申しあげました。
「そうですね。そうだったら僕も変われるんですね。
そして親父も想っていてくれるかもしれませんね」
阿弥陀さまを見つめながらおっしゃいました。
阿弥陀さまとお念仏とまたご縁を深めていただく
尊いご法事になったようでありがたいことでした。