松を残して先にお浄土で待つ
2024年4月27日(土)
お葬儀に伺った会館に鉢が置いてありました。
お父さんから受け継いでお手入れされていた
松の盆栽が遺影の脇の卓上に鎮座していました。
還暦祝いでもらった背番号60のカープユニとか
在りし日の姿を偲ぶ写真や遺品が並んでいるのは
見たことがありますが盆栽があったのは初めてです。
式場に入ったら美しく飾られた花祭壇の手前に
お焼香用の香炉が並べて用意されている机の
一番右端と左端にも松の盆栽の鉢がありました。
亡き父を送り出すにあたりご遺族の皆さんが
二世代にわたって大事にされていた松の盆栽も
ご参列の皆さんに見てもらいたいとのことです。
先に奥さまがお浄土へと旅立たれたときに
生前戒名をお授けした中に翠と樹の文字を
入れていたのはまさに相応しかったんですね。
お宅にお参りに寄ると前庭で鉢を眺めていたり
裏の畑で育てているお野菜をお世話していたり
という姿が瞼に浮かんでくるお檀家さまでした。
お正月には蕾のついた臘梅の枝を切っておいて
よかったらお寺の本堂に飾ってくださいねと
たくさんのお花をお供えしてくださいました。
花を育てたり野菜を作ったりするのが大好きで
季節ごとにいろんなお野菜を袋に入れておいて
お裾分けとして持たしてくださったものでした。
私がいただいたご縁を瞼に想い浮かべながら
阿弥陀さまの極楽浄土でまた逢いましょうねと
心をこめてお葬儀をお勤めしてお送りしました。