生の体験談を次世代にも伝える
2023年7月29日(土)
百歳を超えるご長寿だった男性のご法事のとき
定年後のいわゆる第二の人生が約40年もあると
どのような人生だったのでしょうねと尋ねました。
遺品を整理していたら写真の中にメモが出てきて
先の大戦の終わりごろ満州へ派遣されていたので
その頃の関係で書いたメモだろうということです。
生前に戦争のころの話はいろいろ聞かされたけど
満州のときの話はあまり語ってくれなかったらしく
でもあるとき満州から引き上げた話を伺ったそうです。
終戦直前にソ連軍が侵攻して命が危うかったけど
上官が勘が鋭くて賢かったおかげで機転を利かせて
ソ連兵に持っていた腕時計や金品を渡したらしく。
ソ連兵がこっそり貨車の中に上官を入れてくれて
上官に誘われて貨車に隠れていられたおかげで
ソ連兵に抑留されず日本へ帰って来たのだそうです。
現地ではソ連兵が中国へ向かう列車はこれだと
日本兵をシベリア行きに乗せて抑留していたそうで
自分は上官のおかげで今ここにいると仰ったそうです。
その話を伺って思い浮かんだのが昨年末に観た
シベリアの収容所に強制的に連行され抑留された
日本兵を描いた映画『ラーゲリより愛を込めて』です。
辺見じゅんさんのノンフィクションが原作なので
映画のような現実があったのだろうと思って観たのですが
身近な人から経験談を聴くとより身近に感じますね。
今回の満州からの引き上げの話をご本人から伺っていた方に
聴かせていただいて今までは遠い世界の話っぽかったのが
実際にはとても身近な出来事だという肌感覚を受けました。
被爆体験は次世代に伝えようという動きがありますが
自分たちの身近なところで戦争の時代を生きていた人に
当時の話を伺って人に伝えることも大切にしたいと思いました。