心を守るための距離の取り方

2026年9月2日(水)


お墓の相談の流れから別の相談を受けることがありました。
「翌日から職場へ復帰することになっているけれど
どういう顔をして出勤したらいいですか」というお悩みです。

詳しいお話を伺うと、異動先の職場で上司から
長い間かなりのハラスメントを受けておられたようで
体調を崩して休職されたこともあったそうです。

思いきって会社に相談され、少しずつ状況は改善して
新しいトップのもとで仕事を再開することになったものの
心の整理がつかないまま前日を迎えられていました。

何があったのか細かなお話を伺っていて感じたのは
向けられた強い感情を真正面から受け止め続けて
ご自身の心が疲れ切ってしまったということでした。

そこでヨットの話をしました。向かい風のときでも
帆の角度を変えて前へ進むように、真正面から受け止める
だけではなく受け流しながら進む方法もあるのでは、と。

ヨットの話に加えて「敬いながら距離を取る」という
話もしました。それは相手を何か変えるというより
自分の心を守るためにできることの一つだからです。

どんなに苦手な相手でも、その人にはその人の人生があり
自分は気づいていないけど、誰かにとって大切な人だったり
良い人と思われていたりすることもあるでしょうからね。

だからといって嫌な人を好きになる必要はありませんが
心の中だけでも「もう十分学ばせていただきました」と
区切りをつけて少し距離を取ってみていいと思います。

お話をしていると、その上司の方は仕事一筋で
家族のために働き続けてきたのに、今では家族から
煙たがられているらしいという評判だそうです。

「それは切なくて心が痛みますね」と申しあげると
相談者の方も「そうですね…」とうなずかれました。
その上司に対する見方が少し変わったように感じました。

嫌いという強い気持ちだけで見ていた相手にも
何かしら少し違った見方をすることができると
不思議と心が少しだけ軽くなることがあります。

帰り際には「相談してよかったです。たくさん話を
聞いてもらってすっかり心が軽くなりました。
安心して会社へ行けそうです」と笑顔で帰っていかれました。

逃げると負けたように感じるかもしれませんが
距離を取ることは逃げることではありません。
自分の心を守るための大切な選択だと思います。

そして、嫌いという気持ちを抱え続けるよりも
一人の人間として敬いながら距離を取ることで
少しずつその気持ちを手放していけたらいいですね。