ドック師の焼身供養の地を訪ねて

2026年6月22日(月)


初のベトナム訪問でとても印象に残った一つは
特に朝晩のラッシュ時にはヌーの大群のように
道路を埋め尽くすほどのスクーターの多さでした。

よく事故が起きないものだと不思議な感じでしたが
スクーターの後ろに乗って市内を巡る観光ツアーが
あると聞いたので、せっかくなので参加しました。

案内してくれたのは観光を専門に学んでいるという
大学生の女の子でした。市内観光ということでどこへ
行くのかと思っていたら最初の目的地は意外な場所でした。

そこはベトナム僧侶のティック・クアン・ドック師が
南ベトナム政権による仏教弾圧への抗議として
1963年に焼身供養された交差点だったのです。

交差点の一角には炎に包まれたドック師の像があり
お線香が置かれていたので私もお線香をお供えして
手を合わせてお念仏して師のご回向をしました。

そのあとガイドさんが像の後ろの絵や脇にある展示を
英語で説明してくれて当時の南ベトナム政府と仏教との
関係やドック師について知らなかったことを教わりました。

説明のあとで質問したとき驚いたことがありました。
ベトナムではこのドック師が焼身供養された出来事を
学校で習わないらしく知らない人が圧倒的に多いそうです。

今回のガイドさん自身も、この仕事を始めてから
初めてドック師のことを知ったので、いろんな本を読んで
詳しい人から話を聞いて学んだのだと話してくれました。

私にとっては仏教者としてよく知られた出来事なので
ベトナムで暮らしている若い人たちの多くがドック師の話を
知らないということに少なからず驚いてしまいました。

統一会堂脇の宝物館の展示にもドック師の記述があり
写真展示などを見て「そういえば…」と思い出したのですが
実際に焼身供養された現場を訪ねると感じるものは違いますね。

歴史上の出来事は記録として残されていたとしても
語り継がれなければ次第に忘れられてしまいます。
場合によっては知らないままになることもあるでしょう。

これまで触れることのなかったいろんな歴史に触れることで
過去の歴史の解像度を高めていくことって大切だなぁと
しみじみと考えさせられたスクーターツアーでした。