帰りを待つワンちゃんのお話
2026年6月11日(木)

先ごろ亡くなられたお檀家さまの七日参りで
ご自宅へ伺ってお仏壇の前に設えられた中陰棚へ
お参りをしておつとめをしたときのことです。
玄関から食卓の脇を通り抜けて仏間に入ると
中陰棚の手前に置いてあった座布団の上で
愛犬が気持ちよさそうに眠っていたんですね。
そのお宅の愛犬はいわゆる小型犬なのですが
まるでテディベアみたいにモコモコしていて
動く人形みたいにとても愛らしいワンちゃんです。
亡くなられたご主人がたいそう可愛がっておられて
私がお参りに伺うたびに膝の上へ抱きかかえて
慈しむように撫でておられたのを覚えています。
お経のあいだは大人しくジッとしているのですが
お経が終わって振り返ると私のところへ寄ってきて
撫でてほしそうに甘えてくることがありました。
普段のお参りのあとにお茶をいただいているときも
近寄ってこようとするので、ご主人が抱え上げて
膝の上に乗せて身体を撫でておられたものです。
そんなワンちゃんですが、ご主人が亡くなられてからは
中陰棚の前へ行っては座布団の上で寝ているか
玄関に座って扉を見つめていることが多いそうです。
「まるで主人の帰りを待っているみたいでしょう」
と奥さまがお話しくださったのを聞いたときに
ふと忠犬ハチ公のエピソードを思い浮かべました。
ワンちゃんがどこまで分かっているのかは分かりません。
でも大好きだったご主人がおられなくなったので
どこにいるのだろうと探しているのかもしれませんね。
ご主人にとってもワンちゃんは大切な存在でしたし
ワンちゃんにとってもご主人はかけがえのない
存在だったのだろうなぁと思うと胸がキュッとなりました。
微笑ましくもありますが、ちょっと切なくなった
七日参りで伺ったワンちゃんのエピソードでした。